7-1.会社運営 規程類

7-1.会社運営 規程類

会社を運営していくには、ルールが必要となりますので、内部規程類を作成する必要がでてきます。例え一人社長の会社であっても、経費や出張費等の規程は整備しておくべきでしょう。


会社の規程に関しては、厚生労働省のホームページには次のような記載があります。

  • 常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督 署長に届け出なければならないとされています。就業規則を変更する場合も同様に、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

厚生労働省のホームページから就業規則が無料でダウンロードできて根拠法や関連法規を確認できるのでおすすめです。


規程類の作成の参考書籍として次の本が挙げられます。この本の優れている点は、添付されているCDROMの条文がワードで作成されており、それを自分のパソコンに取り込んで自由に編集できるところです。これなら何も困ることはありません。価格は若干高めですが、図書館で借りることもできるし、蔵書がなければ購入希望のリクエストを行うこともできます。


それでは実際の内部規程類を見ていきましょう。


役員と従業員

企業の役員は、一般の従業員とは全く異なる立場にいます。会社法で規定されている「役員」は、企業と雇用関係にある訳ではなく、委任契約を締結しているからです。

取締役は、一般の従業員のように雇用契約ではなく、委任契約を締結します。委任契約については、民法第643条において、「法律行為を相手方に委託し、相手がこれを承諾することで成立する」と定められています。取締役であれば、企業から経営に関連する専門業務を依頼されて働いている立場になるでしょう。雇用契約を締結している場合は、使用者の指揮や命令に従って仕事を遂行しますが、委任契約で自らの判断のもと、独立して業務を行います。委任契約に基づいて、企業の経営の維持や向上に力を尽くすことが、役員の役割です。

内部規程を作成する際には、従業員の有無が関係してくることになります。



福利厚生

「福利厚生」とは、使用者が、労働者やその家族の生活・健康・福祉の向上や労働能率の向上等を目的として給付する利益やサービスのことをいいます。労働者の満足度を高めるため、「福利厚生」は重要なポイントです。

福利厚生は法定福利厚生と法定外福利厚生の2つに大別されます。法定福利厚生は法律で定められている福利厚生のことで、法定外福利厚生は会社が独自で定める福利厚生のことです。

法定福利に係わる費用を法定福利費、法定外福利厚生に係わる費用を福利厚生費と言います。

法定福利厚生

  • ​​健康保険

  • 介護保険

  • 厚生年金保険

  • 雇用保険

  • 労災保険

  • 子ども・子育て拠出金

  • その他

法定外福利厚生

  • 住宅に関する福利厚生

  • 健康管理に関する福利厚生

  • 慶弔に関する福利厚生

  • 育児や介護をサポートする福利厚生

  • 自己啓発や資格取得に関する福利厚生

  • 休暇に関する福利厚生

  • その他


法定外福利厚生に係わる福利厚生費は、税法で経費としての計上が認められ、非課税対象とすることができます。しかし、福利厚生費として認められるためには、法定外福利厚生について社内規程で整備するなど複数の要件を満たす必要があります。また、法定外福利厚生を社内規定で定める際は、項目ごとに具体的な金額を明記しておくのがポイントです。

福利厚生とは、すべての従業員を対象にしているものなので、役員と従業員が一緒に利用することができます。しかし、役員だけに限定されたものは福利厚生としてみとめられません。一部の社員のみを支給対象にすると、労働者の給与とみなされて所得税がかかる可能性があるため注意が必要です。従業員のいない一人会社の場合ですと、従業員のいる会社と較べて、利用できる法定外福利厚生は限られます。

要件

福利厚生費として認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 社内規定が整備されていること

  • 福利厚生の目的に沿うこと

  • 労働者全員が平等に支給対象であること

  • 社会通念上、適正な内容・金額であること

  • 税務規定の範囲内の支出であること



同族会社

中小企業の多くは、オーナー(株主)と経営者(取締役)が同一又は創業家一族であることが多く、企業規模がそれほど大きくありません。そのような場合、役員(取締役)に関するルールがなくてもあまり困りませんが、次のような場合は役員規程を作成した方が良いといえます。

  • 会社規模が大きくなり、オーナーと経営者が一致しなくなってきた場合。

  • 役員だが社員の仕事もしている使用人兼務役員が存在する場合。

  • 戦略的に社外から取締役を招いて経営に参画してもらうような場合。

  • 取締役の中で仲違いが発生し公平・明確なルールが必要になった場合。

  • 役員の退職慰労金支給を考える場合。



役員の勤怠管理

役員は経営者側なので従業員のように労働基準法が適用されず、就業規則も適用されないので、勤怠管理は不要となり、それに係わる規程も不要となります。そのため、労働基準法で定められている労働時間や残業時間の上限はなく、労働時間中の休憩時間の付与も必要ありません。委任契約によって引き受けた任務を自己の裁量で遂行する訳です。

  • 労災保険

代表権、業務執行権を有する役員は労災保険の対象となりません。

  • 雇用保険

合同会社の社員は株式会社の取締役と同様に取り扱い、被保険者となりません。

  • 従業員用の就業規則

労働基準監督署へ届出する必要があります。

  • 役員規程

監督署への届出の必要はありません。



出張旅費規程、慶弔見舞金規程

従業員用に出張旅費規程や慶弔見舞金規程を作成したりしますが、役員の出張や見舞金も税務上損金として計上する為には、従業員用の規程を役員にも適用するといった作り方をする必要があります。


出張旅費規程

合同会社で旅費規程を導入する際、税務署に否認されないために気を付けるべき点があります。

株式会社や有限会社の場合、税務署対策の一つとして準備するものに「株主総会議事録」があります。税務署は、株主によって決議された内容に口出しできる立場にありません。株主総会議事録を作成することで、旅費規程の導入を社長の意向ではなく経営から独立した出資者の総意で決議されたことにできます。

しかし、合同会社の場合は、出資者=社員となり、経営者と出資者が一致することとなります。そのため、決議内容は経営から独立した株主によるものではなくなり、法律上の効力が弱くなることが注意点です。それでも、社員総会を開き、社員総会議事録や同意書を作成しておくことをおすすめします。税務署への説明材料として、旅費規程の導入は社員全員の同意によるものだと言えるからです。なお、合同会社に関わらず、運用において最も重要になるのは支給する金額の妥当性です。国税庁では、旅費規程で定める金額設定について以下のように定めています。

  • 同業種、同規模の会社と比べて高すぎないか

  • 役職間のバランスがとれているかどうか



退職金規程

従業員の退職に対して会社が支給する対価が「退職金」で、役員の退職に対して会社が支給する対価が「役員退職慰労金」です。

退職金は、就業規則の退職金規程にもとづき支給されます。

役員退職慰労金は、取締役・監査役など役員だった人が退職する際に支払う慰労金のことですが、役員退職慰労金には、退職金規定のような規定を作成する必要はありません。


退職金規程を作成すると、従業員に退職金を払う義務が発生しますが、役員には払う義務が発生しません。なぜなら、会社と従業員は雇用契約の関係ですが、会社と役員は委任契約の関係だからです。ですので、退職金規程をつくって役員退職金を払ってもいいのですが、経費にはなりません。会社が勝手に払ったものとみなされるのです。

役員退職金を経費にするためには株式会社では議事録、合同会社では同意書を作成します。



借用書 役員借入金

規程とは違いますが、会社が役員から資金を借り入れた場合は、借用書を作成します。

一人会社などの同族会社ですと、個人の資金を会社運営の為に使用することがありますが、そのような場合は会社が役員から資金を借り入れたという事実を残すために、つまり、役員借入金の存在を記録するために、借用書を作成しておきます。

借用書と契約書の違い

借用書は契約書と同じ意味を持ちますが、契約書は債権者と債務者の両方で作るのに対し、借用書は通常、債務者だけで作ります。

借用書には決まった形式などはありませんので、宛名(貸し手)、借りた日付、借りた金額、自分(借り手)の住所・氏名など、必要な事項さえ記載されていれば、どんな形で作成しても大丈夫です。

借用書は私文書ですが、公正証書として公文書にすることで、その文書は真正に成立したものとして扱われ、より強力な証拠となります。

債務者が返済をしない場合、借用書を証拠に裁判を起こして勝訴判決を得れば、差押えなどの強制執行が可能になります。公正証書の場合には、私文書にはない執行力があるので、裁判を起こすことなく強制執行ができます。





実際の私の手続き

  1. 会社設立前に個人で支出した創業費や開業費に当たる費用は、役員借入金として借用書を作成しました。


  1. 作成に際して、マネーフォワードのクラウド契約の機能を使いました


  1. 借入日(作成日)は登記完了日としました。





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一人合同会社設立体験記

目次


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1.退職

2.退職後~会社設立前

2-1.退職後~会社設立前 社会保険

2-2.退職後~会社設立前 社会保険 健康保険

2-3.退職後~会社設立前 社会保険 年金

3.会社設立準備

3-1.会社設立準備 事業目的

3-2.会社設立準備 会社形態

3-3.会社設立準備 商号などその他

4.会社設立中 登記

4-1.会社設立中 マネーフォワード 会社情報

4-2.会社設立中 マネーフォワード 法人印鑑

4-3.会社設立中 マネーフォワード 定款

4-4.会社設立中 マネーフォワード 出資金

4-5.会社設立中 マネーフォワード 登記

4-6.会社設立中 オンライン登記

5.会社設立後 届出

5-1.会社設立後 国税 届出 e-Tax

5-2.会社設立後 地方税 届出 eLTAX

5-3.会社設立後 社会保険 届出 e-Gov

5-4.会社設立後 労働保険(労災保険) 届出 e-Gov

5-5.会社設立後 労働保険(雇用保険) 届出 e-Gov

6.開業準備

6-1.開業準備 登記事項証明書 印鑑証明書

6-2.開業準備 銀行口座開設

6-3.開業準備 取引口座開設

6-4.開業準備 名刺

6-5.開業準備 表札

6-6.開業準備 転居届 郵便局

6-7.開業準備 法人カード

6-8.開業準備 ホームページ メール

7.会社運営

7-1.会社運営 規程類 ◀◀◀ 今ここ

7-2.会社運営 役員報酬

7-3.会社運営 仕訳

7-4.会社運営 節税

7-5.会社運営 決算・申告・納税

7-6.会社運営 やるべきこと

7-6-1.会社運営 やるべきこと 1月

7-6-2.会社運営 やるべきこと 2月

7-6-3.会社運営 やるべきこと 3月

7-6-4.会社運営 やるべきこと 4月

7-6-5.会社運営 やるべきこと 5月

7-6-6.会社運営 やるべきこと 6月

7-6-7.会社運営 やるべきこと 7月

7-6-8.会社運営 やるべきこと 8月

7-6-9.会社運営 やるべきこと 9月

7-6-10.会社運営 やるべきこと 10月

7-6-11.会社運営 やるべきこと 11月

7-6-12.会社運営 やるべきこと 12月

8.各種情報Link

9.こぼれ話

9-1.こぼれ話 書体と字体

9-2.こぼれ話 登録免許税の軽減

9-3.こぼれ話 申請用総合ソフト どの申請様式を選んでよいか分からない

9-4.こぼれ話 申請用総合ソフト 申請書と添付書面にそれぞれ電子署名

9-5.こぼれ話 申請用総合ソフト 無料の電子署名の説明が不十分

9-6.こぼれ話 印鑑カードはオンライン申請できない

9-7.こぼれ話 社会保険は5日以内

9-8.こぼれ話 電子申請

9-9.こぼれ話 インボイス制度

9-10.こぼれ話 算用数字(アラビア数字) 漢数字 大字

9-11.こぼれ話 銀行口座開設審査

9-12.こぼれ話 法人設立のメリットとデメリット

9-13.こぼれ話 クラウド会計

9-14.こぼれ話 ぎっくり腰